硫黄とゴム加硫の歴史

世界で硫黄が不足

ゴム製品の製造に欠かせない「硫黄」。
その歴史は、1839年に米国の発明家チャールズ・グッドイヤーが発見した「加硫法」にさかのぼります。
天然ゴムは温度変化に弱く、暑いとべたつき、寒いと硬くなる欠点がありました。
しかし、グッドイヤーが天然ゴムと硫黄の混合物を偶然熱いストーブの上にこぼしたところ、冷却後も弾力を保ち、べたつかないゴムへと変化したのです。
この偶然の発見が、現代のタイヤや工業用ゴム製品の礎となりました。

かつて硫黄は鉱山から採掘されていましたが、現在では石油精製工程の脱硫処理で回収される「溶融硫黄」が主流です。
しかし近年、AI向けデータセンター建設などに伴う銅需要の急増(銅精錬には硫酸が必要)や、中東情勢の悪化により、世界的に硫黄が不足し価格が高騰しています。
180年以上前にゴムの弱点を克服した硫黄が、今度はその供給不足によってゴム産業に新たな課題を突きつけているのは、歴史の皮肉と言えるかもしれません。