ゴムとチョコレートの「農地争奪」?

ゴムとチョコレートは「農地争奪」をしている?
チョコレートの原料カカオと天然ゴムは、同じ国で生産されていることがあります。世界最大のカカオ生産国コートジボアールでは近年、農家がカカオから天然ゴムへ転換する動きが加速しています。
理由は「収入の安定性」
カカオは年1-2回しか収入がないのに対し、ゴムは毎月収入が得られます。
また気候変動にも強く、管理が容易という利点もあります。
この動きにより世界のカカオ供給が減少し、チョコレートの値上がりにもつながっているとも言われています。

背景:同じ土地で競合する2つの作物
チョコレートの原料であるカカオと天然ゴムは、西アフリカや東南アジアなど熱帯地域の同じ農地で栽培できます。世界最大のカカオ生産国であるコートジボアール(象牙海岸)では近年、農家がカカオ畑をゴム農園に転換する動きが急速に進んでいます。

なぜ農家はゴムを選ぶのか?
1.収入の安定性
カカオは年1〜2回しか収穫・収入がなく、剪定や病害虫対策など手間も多くかかります。
一方、天然ゴムは樹液(ラテックス)を毎月採取でき、農家にとってキャッシュフローが安定します。
「安くて楽」という農家の声が多く聞かれます。

2.気候変動への耐性
カカオは高温・乾燥・豪雨に弱く、近年の気候変動の影響で不作が増加しています。
これに対してゴムの木は比較的気候耐性が高く、農家がリスク回避として選択するケースが増えています。

3.労働負担の軽さ
ゴムの木は一度植えると長期間(20〜30年)にわたって樹液を採取でき、管理が比較的容易です。

数字で見る転換の加速
コートジボアールの天然ゴム生産量は2019年以降わずか数年で大幅に増加し、現在では世界第3位の生産国へと躍進しています。このペースが続けば、近い将来カカオの生産量をゴムが追い抜く可能性もあるとされています。

チョコレートへの影響
カカオ供給が減少すれば価格は上昇し、チョコレート製品の値上がりにつながります。
実際にカカオ価格は2024年頃から暴騰し、日本の菓子メーカーもカカオの使用量を減らす動きが出ています。

天然ゴム市場への影響
天然ゴム生産国連合(ANRPC)の情報によると、世界の天然ゴム市場はすでに70万トンの供給不足となっており、コートジボアールでの生産拡大はこの不足を補う動きとして注目されています。

一見無関係に見えるチョコレートとゴムですが、農地・農家・気候変動という共通の要素でつながっています。
ゴム業界にとっては供給増加の追い風になる一方、チョコレート好きにとっては値上がりという形で影響が出る動きが急速に進んでいます。